「Accessの処理を走らせたら、終わるまでコーヒーを飲んで待つしかない」
「データが増えるたびに動きが鈍くなり、最近ではフリーズすることも珍しくない」
もしあなたがそんな悩みを抱えているなら、その原因はデータ量ではなく、Accessの「書き方」にあるかもしれません。
令和8年の今、ある現場で「月々のデータ更新に毎回4時間かかっている」というAccessツールに出会いました。
そのAccessの開発者はすでに他の部署に異動。現在の担当の方からは、「本を読みながら一生懸命作っていた」とその当時のお話を聞かせていただきました。
中身を拝見してみると、原因は明らか。
ある「書き換え」を行ったところ、4時間かかっていた処理はわずか4分で完了するようになりました。
実に60倍の高速化です。
担当の方は「この処理が終わらないせいで残業までしていたのに…」と絶句されていました。
そのAccess、実は「本気」を出していません
特別な高スペックPCに買い替えたわけでも、高額なシステムを導入したわけでもありません。
速度を変えたのは、初心者とプロを分ける「たった一つの設計思想」です。
この記事では、20年の現場経験から見えた「Accessが劇的に遅くなる原因」と、それを秒単位にまで高速化する具体的な手法について、実例を交えてお伝えします。
あなたの会社の「動かない、重いAccess」を、再び最強の業務パートナーに変えるヒントになれば幸いです。
初心者が陥る「Recordsetループ処理」の罠
Access VBAの書籍を読んでいると、必ず出てくるのがRecordsetによるレコード操作のループ処理です。
Accessではデータ1行のことをレコードと呼びます。
Recordsetを利用すれば、テーブルのレコード1件1件に対して、数値の書き換えや、条件の分岐など、柔軟に処理を加えることができます。ループさせればテーブル全件のレコードに対して処理を行えます。
その点、Access VBAを学んでいく上では必須で、しかも「とても役に立つ!」と実感できる方法といえます。
しかし、初心者にとってこの処理はRecordsetでないと実現できないのか?と疑ってみる判断はむずかしいところです。
書籍には「Recordsetを使ってテーブルの数値を書き換えてみましょう」という解説とサンプルコードがついています。それがまさに実現しようとしていたことだったなら、迷うことなく採用するでしょう。
慣れてくるうちに「ここにif~then~elseを書けば、条件分岐もできる!」「DSumを入れれば合計もできる!」ということにも気づくでしょうし、わりと平易なコードで実現できてしまうのです。
ところが、Accessで処理するレコード数が増えたり、Accessをサーバーに置いて運用しようとすると、Recordsetによる操作は劇的に遅くなります。判断や計算を含めるとなおさらです。
なぜなら・・・
Recordsetは、1件ずつ見て、判断して、書き込む
という人間のような動きをさせているからです。
『100人に伝言する方法』を想像してみましょう。
Recordset(ループ処理)は、1人ずつ電話をかけて、相手が通話中なら待ち、話し終わったら次の人に……という作業を100回繰り返すようなもの
ここで仮に、処理速度の計算をしてみましょう。
Recordsetによるレコード1件あたりの処理スピードを1秒とします。
1秒なら十分早い!と思われるかもしれませんが、どうでしょう?
300件 → 300秒 → 5分
3,000件 → 3,000秒 → 50分
30,000件 → 30,000秒 → 500分 → 8.3時間
企業の売上データなどは数万件を扱いますから、1件1秒ではとても実用には耐えられないスピードだとわかります。
しかし、これはAccessの限界ではありません。
原因は、VBAの組み方であり、Recordsetに依存した設計の問題にあるのです。
プロが使う「SQL(集合処理)」という魔法
実をいうと、Accessは標準の機能で高速処理を実現できます。
その機能をクエリといいます。Accessの関連書籍ではこれがないと成り立たないほど標準的な機能で、マウスでポチポチと操作するだけで組み上げられる仕組みです。
クエリには抽出結果を表示する選択クエリの他、更新クエリや追加クエリといったアクションクエリがあります。
アクションクエリもまた、テーブルの中のレコードすべてに対して操作できる強力な仕組みです。
では決定的な違いは何か?
Recordsetがレコード1件ずつ処理をするのに対して、アクションクエリはレコード全件を一括して処理できます。
再び『100人に伝言する方法』を想像してみましょう。
SQL(集合処理)は、100人全員を集めて、メガホンで一度に全員に伝えるようなもの
さきほどのRecordset方式と比べると、どちらが効率的かは一目瞭然ですね。
処理速度はどうでしょう?
Recordsetではレコード1件1秒としましたが、更新クエリの場合は、レコード全件に対して1秒未満~秒単位で処理が終わります。Recordsetとは比較にならないほど高速です。
プロは、標準的なクエリを積極的に使います。
ただし、標準のクエリだけでは実現が難しい場面は多々あります。
抽出条件が多岐にわたったり、計算ロジックが複雑になるほど、クエリの構築難易度は上がるからです。
初心者がRecordsetという方法に行き着いてしまう背景には、「クエリではこれ以上複雑なことはできない」と判断せざるを得ない事情があるのかもしれません。
その場面でプロは、クエリの実体である「SQL」を直接書き起こそうという判断が可能です。
SQLをVBAに組み込むことで、処理速度を極限まで高めるだけでなく、
- 誰が見ても何をしているか分かる(可読性の高い)
- 将来の変更にも強い(メンテナンス性の高い)
コードを実装できるのです。
また、単に書き換えるだけではありません。
データベースの構造そのものを見直し、「インデックス(索引)」を適切に再設計することで、Accessが迷うことなく最短ルートでデータを見つけ出せる『道筋』を作ります。
「動けばいい」ツールを、「10年後もサクサク動く業務基盤」へ。
これが、数時間の処理を数秒単位まで突き詰めるプロのノウハウであり、価値だと考えています。
処理速度が変える、現場の未来
処理速度が劇的に変わるということは、単に「待ち時間が減る」だけではありません。
それは、現場の「データの扱い方」そのものを進化させることでもあります。
これまでは「一度ボタンを押したら最後、4時間は他の作業ができない」という状況では、データの修正や再集計など、到底考えられなかったはずです。
しかし、処理が「4分」になればどうでしょうか。
「ちょっと条件を変えて分析してみよう」「最新のデータで出し直してみよう」といった試行錯誤が、その場ですぐに可能になります。
Accessが「重いお荷物」から、攻めの判断を下すための「強力な武器」へと変わる瞬間です。
そして、何よりも価値があるのは、浮いた「4時間」という時間そのものです。
これまでPCの画面を眺めながらフリーズしないことを祈っていた時間を、お客様とのコミュニケーションや、新しい企画の立案、あるいはチームの業務改善といった、人間にしかできない「付加価値の高い仕事」に充てることができます。
ITツールは、人を縛るためのものではなく、人を自由にするためのものです。
「仕方ない」と諦めていた4時間を、未来を作るための4時間へ。 そのお手伝いをすることこそが、プロとしてのわたしの使命だと考えています。
【診断】あなたのAccessを高速化するためのセルフチェック
「もしかして、うちのAccessも速くなる?」と思ったら、以下の3つの項目をチェックしてみてください。
1つでも当てはまるなら、劇的な改善の余地があります。
処理中に「応答なし」と表示されたり、砂時計が長く続きませんか?
Accessのファイルを、ネットワーク上の共有フォルダに置いたまま開いていませんか?
前任者が「独学で作った」と聞いていませんか?
4時間の苦痛を、4分の快適さに
もし上記のチェック項目に心当たりがあり、「まずは原因だけでも知りたい」と思われましたら、お気軽にご相談ください。
20年のキャリアと実績を持って、あなたの業務を支えるAccessを最適化いたします。


