「Accessはもう古い」は誤解です。
Accessのデータの整合性を守る堅牢性・設計思想は、現代でも最強の業務効率化ツール。
同じことを二度書かない「マスタ管理」のメリットを、Excelユーザー向けに分かりやすく解説します。
4時間の処理を4分に短縮する高速化の土台となる、正しいデータの持ち方とは?
「同じことを何度も書く」のは、ミスの入り口
Excelで売上台帳を作ったり集計しようとすると、こんなことはありませんか?
同じコト・同じモノを指しているのに、違う書き方をしてしまう。
これが、Excelユーザーを悩ませる「表記ゆれ」です。
Accessの魔法:データに「住所(マスタ)」を与える
Accessでは、この「何度も同じことを書く」という無駄を根本からなくします。
これを専門用語で「正規化」と呼びますが、考え方はシンプルです。
- Excel: 売上が発生するたびに「会社名・所在地・電話番号」を全部書く。
- Access :「会社情報」は専用の別の表(マスタ)に1回だけ書く。売上の表には、その会社の「ID番号」だけを記録する。
1箇所の修正で、すべてが変わる
この仕組みの本当の凄さは、データが変わったときにわかります。
もし、取引先の所在地が変わったらどうなるでしょう?
- Excel: 過去のデータ数千件を、一つひとつ探し出して修正(または検索・置換)しなければなりません。修正漏れがあれば、古い住所が混ざってしまいます。
- Access: 「マスタ(住所録)」のたった1行を書き換えるだけ。それだけで、過去の売上データから、これからのデータまで、すべてが「最新の正しい住所」に一瞬で切り替わります。
「マスタ管理なら、Excelでもできますよね?」
Excelでも簡易なマスタ管理は可能
Excelでもマスタを利用することは可能です。
マスタ管理用のシートを用意して、入力を楽にしたり一括修正に対応することはできます。
- [会社情報]シートを作成
- [会社情報]シートに、ID・会社名・所在地・電話番号を入力
- [売上台帳]シートに、VLOOKUP関数を含んだ数式をセット
このような準備をしてあげれば、[売上台帳]シートにIDを入力するだけで、[会社情報]シートから会社名・所在地・電話番号を自動入力することができます。
しかし、わたしは次のようなことが気がかりになります。
Excelでマスタ管理する限界
Excelによるマスタ管理は、安全・安定した運用をしようとすると、メリットよりもデメリットが上回ります。
シートに数式を敷き詰める必要があります。
VLOOKUP系の関数は便利な反面、たくさん使うと重たい再計算が発生します。シートに何か入力するたびに、PCの冷却ファンが高速回転し、数分待たされるようになります。
数式が複雑になるほど、修正するにはある程度の知識・スキルが必要になります。行を増やしたくてコピー&ペーストしてみたら、数式が参照する範囲がズレてしまったり、数式が端から端まで貼られていなかったり。
それから、他の人が自分の思うようにExcelを使ってくれるかどうかは定かでありません。作業者とファイルを共有したり関係者に配布する場合、セルやシートにロックをかけ、さらには誤入力を防ぐ工夫を考えたり…。
というように、業務で使うExcelでマスタ管理しようとすると考えることが多くなります。
この点、Accessは正規化に長けたデータベースです。Excelでの心配事のほとんどを解決できます。
結論:正規化は「ラクをする知恵」
「正規化」と聞くと難しそうですが、要は「同じデータを2回書かない。だから、直すときも1回で済む」という、究極の効率化の知恵です。
少し寄り道して、Excelでのマスタ管理を考えてみましたが、わりと厚い設計をしてあげないと、Accessのような堅牢性は得られません。
このガッチリした「ガードレール」があるからこそ、Accessは数万件、数十万件のデータになっても「汚れ」がなく、常に正確な答えを出せます。
データの汚れを防ぐ『設計』こそが、高速化の第一歩。
わたしが4時間の処理を4分にした具体的な手法は、Access 高速化コンサルティングで解説しています。




